真のジャーナリズム
『コリアン世界の旅』で第28回大宅壮一ノンフィクション賞と第19回講談社ノンフィクション賞をW受賞した野村進のデビュー作。 フィリピンにおいてマルコス独裁やダム建設、さらには伝統的に行われてきた差別に対して戦いを続けるフィリピン新人民軍。彼らは共産主義を根本に置き、少年少女も加えてフィリピンの明日のために命を賭けて闘う。 フィリピンばかりでなく、アフガニスタンやイラク等に関する最近の報道はどこか上から見下ろしているというか、あくまで他人事という感じが否めないものが多い。しかし、この本では現地の人々と同じ視線で書かれている。えらそうなことを言える立場ではないが、この本のスタンスこそジャーナリズムのあり方ではないか。 因みに、この本に書かれていることは80年代前半、今から20年程前のことだが、全く色褪せていない。 ソレデハ…
武器を手にするしか方法はないのか・・・。
マルコスの圧政がはびこる戒厳令下のフィリピンで暗躍する、マルクス・レーニン・毛沢東主義を信奉するゲリラ組織「新人民軍」。これが野村進のデビュー作であるにもかかわらず、冷徹な視線を常に保ちながら、ゲリラ組織に従軍する出色のルポルタージュだ。実は近所の国であるフィリピンのことをぼくはよく知らなかった。スペイン、アメリカの植民地、日本軍の占領、冷戦構造の中、アメリカの後ろ盾に支えられたマルコス独裁政権・・・歴史の荒波に翻弄され続けたフィリピンの人たちの忸怩たる思いが行間から濃厚に立ち込める。軍事闘争(テロリズム)しか解決の糸口はないのか・・・。宗教を一切否定するマルクス主義とカソリックが8割近くを占める国に「接点」はあるのか。なぜ彼らが銃を手にしなくてはいけない羽目に陥ったのか。現在の社会情勢を鑑みても約20年前に出版された本書が色褪せることはない。
講談社
アジア新しい物語 (文春文庫) 歴史と英雄―フィリピン革命百年とポストコロニアル (神奈川大学評論ブックレット) アジア定住―11ヵ国18人の日本人 脳を知りたい! (講談社プラスアルファ文庫) 物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)
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