白い砂浜にふちどられた緑の小島が青い海にぽつんと浮かんでいる。北緯10度、フィリピンのセブ島の沖10キロにあるカオハガン島だ。真珠の首飾りのように連なる「オランゴ環礁」の1つで、島のあちこちにはココヤシやカラフルな花があり、450人ほどの島民が暮らしている。 本書はこの島の日本人オーナーによる「十年の記録」である。1987年、大手出版社に勤めていた著者は、退職金の一部でカオハガン島を買い、4年後に移住。観光業を営みながら、法的には「不法占拠者」である島民との共存を図り、徐々に島の暮らしを整えていった。詳細は前著『何もなくて豊かな島』『青い鳥の住む島』に記されているが、同時中継的な雑誌連載をまとめた前2冊とは異なり、本書にはカオハガンの過去、現在、未来がしっかり描かれている。 こうして10年間を俯瞰(ふかん)してみると、カオハガン島の暮らしが変化してゆく様子が興味深い。昔ながらの自給自足の生活をしていた島に貨幣経済が入り込む。生活は便利になるが、放っておけば「うつくしい環境」と「循環する時間のなかに生きる豊かさ」はすぐに失われる。教育や医療を充実させつつ、「何もない豊かさ」をいかに守るか。そこには本書のエピローグにあるとおり「国づくりのような面白さ」がある。 それにしても、カオハガン島の自然と島民たちは本当に素晴らしい。本書の約半分を占める美しい写真を見ると、思わずため息が出てしまう。こんな場所が現実にあることを知れるだけでも、本書を手に取る価値はあるだろう。(齋藤聡海)
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カオハガンからの贈りもの セブ島ふたり暮らし―全費用月10万円で快適
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